先日、実家に帰ったときに母から
「今年の秋頃に仕事辞めようと思ってるの。」
と突然言われた。
「21年も働いてたみたい。自分でもびっくり。」
私が高校生になったと同時に近所のスーパーマーケットでパートとして働き始めた母は、
父が単身赴任していたり、部活やバイトを始めた私の帰宅時間が遅くなったりして時間に余裕ができたことをきっかけに、
もともと持っていた責任感の強さを発揮して、
いつしかただのパートではなく準社員という形で働いていた。
しかも、一度も辞めようとも思わず、21年間ぶっ続けで。
母も気付けば70歳手前。
準社員とはいえ、
思春期の私を見守り、家事をこなしながら、グチなどもそこまで言わずしてこの歳まで働くことを想像したら、
子供もいないし、忙しいときはご飯も作らないし、
今でさえ
「疲れたーまじでむりー」とすぐに弱音を吐く私って本当に甘ちゃんだと思う。
母はどんなに忙しくても、ちゃんとしたご飯を出してくれたし、
母が仕事で翌日朝早くても、
帰り遅くなった私がご飯を食べるときにひとりにならないように、その日起こった出来事を話しながら、優しく見守ってくれた。
それは、わたしがは実家を出てひとり暮らしをはじめた4、5年前くらいまでずっとそうだった。
私が二十歳ぐらいになったころから父が赴任先から帰国。
その後、母は仕事のストレスで片耳が難聴気味になり、働くペースを落とした。
嫌なことはすぐに忘れると言っていた寛大な母は、実はストレスを溜めやすいタイプだと、そのとき知った。
身体に出るくらいなら辞めた方がいいのに、、と私は思っていたけれど、
それでも母はペースを落としながらも働き続けた。
それから、確か半年後ほど経って母は、
「今日、夕方になるまで声を発してなかったことに気づいて、このままだとボケそうだからやっぱり働く日数増やそうと思う。」
と言ってきた。
たしかに、その時は
また父親が単身赴任することになって離れて暮らしており、
私も母と変わらず仲良しだとはいうものの、
私はよく仕事をして、よく遊んで(笑)いたので、家にいる時間が少なくなっていた。
誰も居ない家にひとりでいる時間が長くなり、寂しさや、疎外感を感じたのかもしれない。
忙しく色々な人と関わるよりも、コミュニティに属さずにいる方が母にとってはストレスなのだろう。
その気持ちは、私もわかる気がする。
私も時間が出来た時、
結局予定を詰め込んで忙しくしてしまうことがある。
誰かと関わっていたいし、人と関わることで、自分の存在意義を見つけてしまうこともある。
きっと母も似たようなことを感じたのだと思う。
それから、母はまた前と同じくらい働きだした。
そして現在。
私は家を出たけれど、
父は数年前から完全に帰国し、コロナの影響もあって家にいる時間が増えたこともあり、
母もひとりではない。
夫も近くにいるし、仕事というコミュニティに属さなくてもストレスにならない時がきっとやってきたのかな。
辞める決断も簡単ではなかったと思う。
店長よりもお店に詳しく、みんなに頼りにされていた母。
何気にオシャレ番長だったともいう(おばさんの中でねw)。
きっと私が日頃受けていた優しさを、仕事中も色々な人に
与えていたんだと思う。
私も母のように、家庭と仕事を両立させる優しい女性になりたい。
これからは、パパとの夫婦生活をゆっくりと楽しんでいってね。