フリーランスとアルバイト

「フリーランスがアルバイトをしている」と聞いたらどんな感想を持つだろうか。
その話をした時の相手の反応で、その人の仕事に対する価値観を推し量っている時が私にはある。

ここ数年で副業を容認する企業が増えたり、テレワークが一般化したり、週休3日を取り入れる企業が出てきたりなど、働き方のパターンが格段に増えている。
かくいう私も会社員でいることが当たり前だと思っていたのに、気づいたらフリーランス稼業で生活をするようになって4年目になる。新卒入社してから転職しまくっているので、もはや職歴としてはフリーランスが最長になった。(それぞれの社歴が短すぎるとも言える笑)

フリーランスになったのは確固たる決意があったわけではなく、気づいたらフリーランスで生活ができるようになっていた。

最後の会社を辞めた後、転職するつもりで活動をしようかな〜というタイミングで仕事の先輩から「フリーでやっていけば?」と言われた。確かに会社組織で働くというのが自分にはどうも合わないのかもしれないと気づき始めていたし、転職活動は面倒臭いし、、、でもフリーなんてそんな上手く行かないでしょうとは思っていた。
だが結局その先輩から紹介してもらった仕事を細々と始めたことをきっかけに、ありがたいことにそれまでに一緒に仕事をしてきた方(かつて同じ会社で働いていた方や、お客様だった方など)を中心に声をかけていただいたり、紹介していただいたりで仕事がそれなりに増え、今がある。

そんな感じで成り行きでフリーランスになった私は、アルバイトもするようになった。アルバイトのテーマは、「今までやってみたかったけどやってこなかったことをやってみよう」だ。

地域密着なスナックのフロアレディから始まり、ほぼワンオペのカフェ店員、キッズ相手のイベント進行補助などをやってきて、最近また新しい仕事を始めた。本業に支障をきたしたくはないし休みなく働きたいわけではないので、なかなか選択肢は少ないのだが、面白そうな仕事があればやってみたいとアンテナを張っている。お花屋さんでも働いてみたいし、また洋服屋さんでも働きたい。オーセンティックなバーでも働いてみたいし、ラインの工場でも働いてみたい。体験してみたい仕事は、考えればまだまだたくさんありそうだ。

なぜわざわざアルバイトをするかと言うと、新しいこととか、いつもやっていないことをするのが単純に楽しいし、気分転換になる。はじめてする仕事を通して、知らなかったことを知ることができるのはとっても面白いし、新しい気付きにつながったりするからだ。

前置きが思いの外長くなったが、ここで冒頭の話になる。

フリーランスで仕事をしている私が「アルバイトをしている」と言った時、返ってくる反応は2パターン。

まずひとつは「面白そう」などと純粋に興味を持たれるパターン。そしてもうひとつは「アルバイトしないと生活していけないのかな…」という憐れんだ視線を送られるパターンだ。

前者はおそらく私が考える仕事というものの捉え方が近しいのかなと感じて、一緒に仕事をする相手としては安心感がある。一方で後者の反応をされた場合は、おそらく私と”仕事”についての感覚が異なるので、一緒に仕事をしても上手くやっていけない気がしてしまう。

後者の感覚の持ち主は、きっと労働ということに対してネガティブな感情が大きのだろう。生きていくだけの稼ぎがあったら、それ以上は働きたくないと考えているのかな、と考えたりする。そしてアルバイトという働き方に対して、下に見ているという感覚が少なからずあるのではないだろうか。

どちらの捉え方が正解ということではもちろんないし、どちらに見られたいということもまったくないのだが、自分と感覚が近しいかどうかの判断材料には使えるので、この話をした時の人の反応を見るのはなかなか面白い。大体どっちの反応をされるか、予想は当たるけれども。

これからもどんどん働き方の変化もあるだろうから、自分がどうしていくかも先のことは全くわからない。でも、これからも人からどう思われるかとかくだらないことは気にせず、価値観を理解し合える相手と気持ちよくいろいろな仕事をしていきたいな、と思う。